導入事例インタビュー

「管制は現場に出るな」 “辞めた人が戻ってくる”—現場と向き合う仕組みづくりとは

今回は、福岡県を拠点に、多岐にわたる警備サービスを提供しているサンエス警備保障株式会社様にお話を伺いました。独自の企業風土と「くもかん」がどのような点でつながり、導入に至った、廣松様と谷口様にお話をお聞きします。

管制の仕事と警備員を大切に想うからこそ、「くもかん」という選択

管制育成の難しさが、業務効率化のきっかけに

straya 山田: 「くもかん」導入前の主な課題は何でしたか?

廣松: 管制を育てるのが本当に難しかったんです。言語化しづらい“感覚”のような話が多く、人に伝えるのが難しい。以前からずっと、こうした管制の業務を仕組みで支えたいと考えていました。他社のサービスも見ましたが、柔軟性が足りず、警備業に特化していないと感じていました。

straya 山田: その課題による具体的な損失には、どのようなものがありましたか?

廣松: 管制の出来がそのまま拠点の成果に直結します。トップよりも管制が原動力なんです。ただ、非常に重要な仕事であるにもかかわらず、日の目が当たりにくく、評価されづらい。そうした現場の苦労を少しでも軽減したいという思いがありました。

straya 山田: 何か対策はされていたのでしょうか?

廣松: うちは「管制は現場に出るな」が教えです。極端に言えば「現場に出るくらいなら海でも眺めてろ」って(笑)。それくらい、管制には現場以外の役割に集中してもらう方針です。ただ、現場から登用した人材や若手で応募してくる人など、実態を知らずに管制に入ってパンクしてしまうケースもありました。

谷口: 僕自身も「楽に稼げそう」と思って内勤を目指しましたが、実際は全然違いました。

straya 山田: 我々も管制の難易度の高さは異常だと思っております。それが原因で精度を欠いた配置に繋がり警備員さんに皺寄せがいきますよね。

廣松: まさに仰る通りですね。管制が苦労している拠点は漏れなく警備員も苦労しています。

配置時間が2時間から10分に!

straya 山田: 「くもかん」を初めて知ったきっかけは何ですか?

廣松: ちょうどネットで探していて電話で問い合わせようかと思っていたところに、うちの常務が見つけてきてくれたんです。

straya 山田: 数ある中で「くもかん」を選んだ決め手は何でしたか?

廣松: 若さと可能性に賭けました。新しいものが好きというのもありますし、何か変えてくれそうな予感があったんですよね。トライアンドエラーで試してみたいと。また、「くもかん」は“気遣いシステム”だと思っています。不仲登録ができたり、スマホやAIを活用していたり、今っぽい感覚があったのも良かったです。

straya 山田: 導入後、現場やご担当者様の反応はいかがでしたか?

谷口: 業務効率が格段に上がりました。例えば、金曜日などは3日分の配置を組むのに2時間かかっていましたが、今では10分で済むようになりました。

廣松: 将来的には1000人分の配置を2秒で終わらせられる世界がくると思っていて、管制の負荷を軽減するという目的にも近づけています。

谷口: ただ、細かい部分ではまだ使い勝手が気になるところもあって、従来の方法を併用している拠点もあります。それでも、徐々に「くもかん」に統一していく流れはできています。

廣松: 警備員さんの中でも若い方からはかなり好評です。警備報告書を紙で管理していた頃と比べて、電子化で管理もしやすくなりました。直行直帰を謳っていながら実際は事務所に警備報告書を提出しに来なければいけないといった実情も解決できつつあります。高齢の方でも、トイレが確認できる機能などは喜んでもらえました。

「くもかん」画面

あえて全拠点一斉導入に踏み切った理由

straya 山田: 1ヶ月で2拠点のテスト運用を経て、2ヶ月目には全7拠点へ展開して頂きました。その理由は何だったのでしょうか?

廣松: 最初は器用な谷口がいる博多と、最も大きい拠点の南福岡で始めました。でも、思ったより苦労していて「どうせ苦労するならみんな一緒にやった方がいい」と全拠点展開に踏み切りました。閑散期の4〜6月を狙って進めて、7月1日からは紙の警備報告書を完全廃止する予定です。

straya 山田: 各拠点へスムーズに展開するための工夫はありましたか?

廣松: 趣旨をLINEで何度も丁寧に伝えました。管制や警備員の負担軽減、その先にある事務員の負担軽減までを意識して進めました。自分自身も当事者として入り込み、管制にはタブレットの支給を検討しております。足並みが揃わない拠点については、他拠点の内勤が現場に出向いて巻き取ってくれました。お願いベースではなく、「会社として必ずやる」というプレッシャーもかけました。

straya 山田: 実際の現場でのご苦労や、strayaのフォロー体制はいかがでしたか?

谷口: マニュアルもない中、何を操作すればいいか迷いました。でも終わってみれば「慣れ」ですね。strayaの方がデータインポートや説明会を丁寧に対応してくれたのも助かりました。今後はマニュアルやデモ環境があるともっと良いと思います。

straya 山田: 谷口さんはシステム上できないことを受け入れてくださり、その上でどう活用するかご検討頂けるので私としてもご一緒していて非常に進めやすかったです。頂くご要望も本質的でとても参考になります。

警備員に“戻ってきてもらう”ための関係づくりと「くもかん」を通じた離職対策

straya 山田: 警備員の方々への接し方で、意識されていることはありますか?

廣松: とにかく優しく接するようにしています。夏場にはアイスを配り、誕生日の警備員を事務所でお祝いしたり。今となっては当たり前ですが、日当保証も先駆けて始めました。稼ぎたいなら稼げばいいと伝えて、気持ちよく働いてもらうのが一番です。実際、辞めても2ヶ月以内に戻ってくることが多いです。

straya 山田: かなりユニークなお取り組みですね!とてもステキだと思います。そのようなお取り組みが始まるきっかけは何でしたか?

廣松: 当社のオーナーの意向ですね。以前は私も現場に厳しく接していたことがありました。ただ、オーナーから「小さい頃から警備員を夢見ていた人間はきっと少ない。何か事情があってここに辿り着いたはず。それならまずは優しくしてあげなさい。」と言われ考え方を変えたのです。

straya 山田: そのようなお考えが10年で数百人規模の成長を実現したのですね。

今後の展望と離職対策

straya 山田: 今後、「くもかん」に期待することはありますか?

廣松: 事務・経理まで含めた総合システムになってほしいですね。帳票が出せたり、位置情報で打刻を制御できたりすると助かります。

谷口: 満足度アンケートや不仲アラートも、理想的な人員配置に向けて非常に有効だと思っています。

廣松: 夏休みのラジオ体操スタンプみたいな、警備員が毎日アプリを開きたくなる仕掛けもあると良いですね。「あと何日で目標給与達成しますよ」とか、楽しみながら使える要素が欲しいです。

straya 山田: 離職対策として効果を感じた場面はありましたか?

廣松: ある警備員がアンケートで「1」の低評価をつけていて、それを谷口が見つけて話を聞いたんです。現場で嫌な目に合っていたようですが、すぐに声をかけてもらえたことをすごく喜んでくれました。不満を溜めて突然辞めるという典型パターンを防げたと思います。

straya 山田: それは嬉しい例ですね!同様の活用事例が増えるようなご支援や機能開発を強化していき、皆様が実現されたい規模の一助になれれば幸いです。

導入を検討している企業へのメッセージ

straya 山田: 導入を検討している企業に向けて、アドバイスがあれば教えてください。

廣松: 本音を言うと、あまり教えたくないくらいです(笑)。「くもかん」を使っていることが採用時の差別化要素になると考えているので。ただ、管制がつらい思いをしている会社には本当に使ってほしい。管制が可哀想ということは、警備員も大変なはずで、非効率な構造がそのまま現場に跳ね返っている。「くもかん」は、その構造を根本から変えてくれる可能性があると思っています。

straya 山田: 肝である管制の負担を軽減することで警備員の働き方も改善し、結果として離職を抑えられる環境を醸成していくということですね。ヒトを大切にする貴社ならではのお取り組み、大変勉強になりました。

本日は、サンエス警備保障株式会社の廣松様・谷口様にお時間をいただき、貴重なお話をありがとうございました! 「くもかん」を活用した管制業務の効率化、全拠点へのスピード導入、そして警備員さんとの信頼関係を大切にする姿勢は、警備業の“働き方”そのものを見直す素晴らしい取り組みでした。 「くもかん」は、属人化しやすい管制業務を仕組み化し、誰もが安心して働ける環境づくりを支援するシステムです。 「うちでも使える?」「まずは一部の拠点から試してみたい」など、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!

会社概要

会社名
サンエス警備保障株式会社
所在地
〒812-0044 福岡県福岡市博多区千代5丁目10番7号
設立
平成27年3月
ホームページ
サンエス警備.com
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